遺言書で書けること~付言~

こんにちは。佐賀の女性行政書士、天山です。

前回まで遺言書の種類についてお伝えしました。

遺言書の種類①http://ameyamaeriko.net/archives/70

遺言書の種類②http://ameyamaeriko.net/archives/81

遺言書の種類③http://ameyamaeriko.net/archives/90

本日は遺言書で書けることをご説明します。

遺言書で書ける内容のことを「遺言事項」といい法律で決まっています。

遺言事項

  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 遺産分割の禁止
  • 相続人の廃除及びその取り消し
  • 遺贈
  • 認知
  • 後見人の指定
  • 祭祀の承継者の指定
  • 特別受益の持戻免除

…などです。

詳しい内容は別の機会にご説明させていただけたらと思います。

これらの遺言事項が、遺言で書かれると法的な効力が発生することになります。逆に、それ以外のことを遺言に書いても法的な効力は生じないということです。

付言事項

遺言書にかけることとして、もう一つ「付言(ふげん)事項」というものがあります。

これは、法的な効力を生じない気持ちや心情といったものを書く部分になります。

法的な効力は生じませんが、ときにこの付言が重要な役割を果たす時があります。

例えば、法律上の割合とは違う相続分を指定した場合などは、この付言事項に、そのような遺言内容にした理由や思いを書くことで、誤解を与えないようにしたり、受け入れてもらえるように促すこともできます。

付言として伝えたい大事なことを書くことで、遺言事項の内容と相まって、紛争予防の安全性をより高めることもあります。

エンディングノート

少し前に終活がブームになり、その象徴となったのがエンディングノートですね。

エンディングノートと遺言書の違いは何でしょうか?

これまでも説明してきたように、遺言に書ける内容や方式が法律で決められていますので、それ以外のことを遺言に書くいても法的な効果は生じませんし、決められた方式で書かれていないと無効になります。

ですから、エンディングノートでは遺言のような法的な効果を期待することはできません。

また、遺言は亡くなった後のことに関して書きますが、エンディングノートには、生前の死期が迫ったときに家族に見てもらい自分らしい最期を迎えるために書かれることが多いようです。

  • 最後の医療
  • 延命治療
  • 介護について
  • 葬儀の方法

遺言は一般的には亡くなって数日たってから開封されるものなので、これらを遺言の付言事項のところに書いてしまうと、希望がかなわない可能性がとても高いということになります。

付言事項に書いてしまった結果、亡くなった方の最後の望みをかなえてあげられなかったと、残された家族が自責の念に駆られることになるかもしれません。

自分の最後の望みを伝えるためにエンディングノート

自分の死後の家族のことを思いやり遺言を残す

このように、二つを上手く併用するのもよいかもしれません