自筆証書遺言保管制度④

こんにちは。佐賀の女性行政書士、天山です。

本日は、証明書の請求手続に関してお伝えします。

まず、証明書と言われても正直皆さんピンとこないですよね。私も最初はそうでした。

証明書には、「遺言書保管事実証明書」と「遺言書情報証明書」という2種類のものがあります。

遺言書保管情報証明書

遺言書保管情報証明書とは、自分が相続人となっていたり遺産をもらう人として指定されていた場合(受遺者)や、自分が遺言を執行する人として指定する(遺言執行者)というような内容の遺言書が保管されているかどうかを確認するためのものです。

わかりやすく言うと、ある人が書いた、自分が関係者となっている内容の遺言が保管されているかを確認するものです。

請求できる人は相続人、遺言執行者、受遺者等とされています。

手続の流れは以下の通りです。

  1. 申請先を確認する
  2. 請求書を作成する
  3. 予約をする
  4. 交付の請求をする
  5. 証明書を受け取る

詳しく見ていきましょう。

1.申請先を確認する

遺言書保管情報証明書は、全国のどこの法務局でも行うことが出来ます。

2.申請書を作成する

申請書は法務局の窓口にもありますが、ホームページでも入手できますので、事前に記入していくことをお勧めします。

3.予約をする

郵送でも窓口請求もできますが、窓口請求の場合は事前予約制となっています。電話やホームページの予約専用サイトからも予約が出来ます。

4.交付の請求をする

請求をするときは、いくつかの添付書類が必要です。

  • 遺言者の死亡を確認できる戸籍(除籍)謄本
  • 請求する人の住民票の写し

さらに、相続人が請求する場合は、遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本が必要です。請求人が法人であるときは、法人の代表者事項証明書が必要となります。相続人が未成年などで法定代理人が請求する場合は、戸籍謄本(親権者)や登記事項証明書(後見人等)が必要となります。

手数料は1通につき¥800で、収入印紙で納めます。

5.証明書を受け取る

この時、本人確認がされますので、運転免許証等の身分証を持参しておかなければなりません。

また、この手続は郵送で申請することもできます。その際は、自分の住所を書いた返信用封筒と切手を同封する必要があります。

遺言書情報証明書

遺言書情報証明書は、保管されている遺言書の情報を証明するものです。遺言書保管情報証明書は、保管されているかどうかを証明するののですので、似ていますが違う書類です。

  1. 請求する保管場所を確認する
  2. 請求書を作成する
  3. 予約する
  4. 交付を請求する
  5. 証明書を受け取る

大体の流れは遺言書保管情報証明書と同じですが、この手続では、法定相続情報一覧図というものが活躍します。詳しいことはまたの機会にご説明しますが、相続関係を証明してくれるとても便利な書類です。

この法定相続情報一覧図を使って以下のように場合分けされます。

・法定相続情報一覧図の写し(住所記載があるもの)

この場合は、法定相続情報一覧図の写しのみで手続が出来ます。

・法定相続情報一覧図の写し(住所の記載がないもの)

相続人全員の住民票の写しと一緒に提出します。

・法定相続情報一覧図がない場合

亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の住民票の写しが必要です。

また、受遺者や遺言執行者が請求する場合は、請求する人の住民票の写しが必要となります。

請求する人が法人である場合は、法人の代表者事項証明書が必要となります。

請求する人が未成年などで法定代理人が請求する場合は、戸籍謄本(親権者)や登記事項証明書(後見人等)が必要となります。

請求に必要な手数料は、1通につき¥1,400で、収入印紙で納めます。

この証明書も、窓口及び郵送にて請求することが出来ます。

遺言書情報証明書の重要な役割

不動産の名義変更や、預貯金等の名義変更や払い戻しにおいて、遺言書が必要となることがあります。

遺言書情報証明書は法務局で発行してもらう書類なので、この書類をもって相続手続をすることが出来ます。

自筆証書遺言のデメリットの一つとして、家庭裁判所で行う検認という手続が必要であり、これに時間がかかってしまい相続の開始から手続き完了まで時間がかかってしまうという点があげられました。

しかし、遺言書情報証明書を使えばかなり時間を短縮することが可能となりそうです。

様々な事情を考慮して、自筆証書遺言の作成を選ばれた場合に、その有効性が争いにならないよう、保管制度を上手く使って無用な争いを防いでいきましょう。